デザインのお話を始めようと思う。【第3回】Webサイトのターゲットと導線

デザインのお話を始めようと思う。【第3回】Webサイトのターゲットと導線

コロナ禍2年目の夏ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。こちらは、生活環境がいい感じにまあまあ改善されております。ライフハック使ったとかって話じゃないですが、まあいろいろと。

「脳髄は人間の迷宮だという観点からあえて許そう」。ええ、良い言葉だと思います。

さて、今回の本題です。ずいぶん昔から「良いコンテンツを発信する事が大事」と異口同音に言われておりますが、以前の記事で「デザインはコンテンツを補佐する役目であり主役ではない」といった事を書きました。今回は「Webサイトのターゲットと導線」について書いてみます。

ターゲットを決めよう~「ペルソナ」の設定

良いデザインとか良いコンテンツとは、伝えたい相手に必要な情報が伝わる事が重要ですが、ところで誰に伝えるかをどのレベルの解像度で考えてますでしょうか。今更ながらですが、「ペルソナ」とは本来「仮面」という意味のラテン語で、それから転じて「架空のユーザー像」を指すようになりました。
伝えたい相手を決めるところから始めようというお話ですので、例えばこんな風に具体的に想定します。

・男性
・30~50代
・管理職
・ITリテラシ低め
・基本的に熱意は少ない
・会社以外でPCを使わない
・スマホではYoutubeやSNS程度を利用

この例は大雑把ですが、こういった架空のユーザーを想定してサイトの設計を行います。極論ですが、このユーザー1人のためのサイトを設計すると言っても良いでしょう。

恐怖の「キラーパス」

ターゲットを絞り切れなかった結果、起こりがちな例えばこういう話。WEBでの話ではないですが。

このコロナの世の中、食材の宅配が流行っております。

ある日、テレワーク中に食材宅配のA社が売り込みにまいりましたので、追い返すでもなく、まあ、真面目にお話を聞いておりましたところ、彼らはこのような趣旨の事を言いました。

「価格感は近所のスーパー並みなので高くない」
「いろんな食材がありますよ」
「こんなお子様向けの食材もありますよ」
「好きな日時での配達もできますよ」
「ワンコインでお試しできるので是非」

なるほど、A社のサービスの特徴をまあ満遍なくといった感じで説明を受けました。

いや、導入するかどうか真面目に思案しましたが、結論としてはA社導入は見送りました。

A社は「宅配食材」に興味を持たせることに成功しました。しかし啓蒙が中途半端だったため、結局のところ、我が家の事情に適合している他社のサービスを導入する方に考えがシフトしたのです。
「なるほど宅配食材も良いね。じゃあどこの会社のにしようか改めて考えよう」と。
自社の広報/宣伝を切り口に、他社のサービスが導入されてしまう「キラーパス現象」です。
これは皮膚感覚的にですが物凄く多いケースだと思います。

伝えるべき相手を絞らずに、最大公約数的な情報を発信した結果、起こりやすい現象かと思います。

 

導線のデザイン

2秒間でキャッチする「キービジュアル」。

さて、ターゲットを想定できたら、ターゲットに与えるイメージをキービジュアルとキャッチコピーで決めていきます。これも、最初のステップで決めたペルソナが抱えているだろう問題に寄り添う形で行う必要があるので、間違っても企業のスローガン的なものや美辞麗句で飾るようなことが無いようにしなければいけません。

よく言われることですが、ユーザーはあるページにおいて、ページの閲覧を続けるかどうかを判断するまでに2秒程度しかかけません。この2秒の間に自分の好む情報がないと判断された場合、あっという間にページから離脱してしまいます。モニターの向こうにいるユーザに話しかける感覚で作ってみるのが良いかもしれません。

 

「カスタマージャーニー」のデザイン。

ユーザーの知りたい情報を順番で説明する

「カスタマージャーニー」というのはざっくり説明すると、最初の方で想定したペルソナの行動・思考・感情のプロセスの事ですが、それを踏まえたうえで、ユーザーの行動を想定し、コンテンツの内容や順番を決めなければなりません。この時によく間違えてしまうのは、自社のサービスを推したいがばかりに、ユーザーの抱えてる問題を無視して話を進めてしまう事です。

最初の方で書いたA社がやらかしたパターンです。A社は結局のところ自社のサービスの特徴や、売りたいものを一方通行で垂れ流して説明してきたにすぎませんし、それをやられるとサービスについて質問する気にもなれないんですよ。

冷凍食品が豊富とかって話にたっぷり時間割かずに、高タンパク低脂質のリーンな食材4人分をどう提供できるかっていう我が家の問題を解決してくれるような話を引き出してくれたら良かったんですが「うちのサービスはいろいろできますよ!さあお試しお試し!」ってやるから萎えるんですわ。

ユーザーに何をしてほしい?

あるページにおいて、「お問い合わせ」であったり「メルマガ登録」だったり、ユーザーに行ってほしいアクションが恐らくあると思います。これらはCTA(コールトゥアクション:行動喚起)なんて言われたりします。いずれの場合も「何が得られるかが明確に」されていることが重要です。

一つのページにいくつも詰め込まない

ユーザーに求めるものが多すぎて、CTAをしつこく配置したり、色んな種類のものを詰め込んだりすると、ユーザーは不快になる事が多いのでUXが低下します。思考・感情の考慮ってのはここでも大事です。また、そうなってしまうのはページとしての目的を絞り込めていない証拠でもありますので、ラフの段階で良く練りこんでいく必要があります。

結局のところは「ユーザー視点」

テクニカルな話であれ、どうコンテンツを作るであれ、結局のところ、「伝えるべき相手をちゃんと捉えること」が肝要になります。良いデザイン、良いコンテンツと一言で言うのは簡単ですが、ターゲットごとに訴求できるデザインは違ってくるのは当然ですので、そこがブレると最終的には見当違いな方向に努力をしてしまうかもしれません。「誰にとって良いのか」、これを改めて考えてみるのはいかがでしょうか。

前回までの記事はこちら

デザインのお話を始めようと思う。

デザインのお話を始めようと思う。【第2回】Webサイトのデザインミス

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